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専門家が教える指定管理者制度【東京・コンサル】

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専門家が教える指定管理者制度【東京・コンサル】

2023/07/03

今回のブログでは、そもそも「指定管理者制度」とは、何なのかについてお話ししたいと思います。

 

指定管理者制度とは、時の小泉政権により推し進められた「小さな政府」構想に基づき、地方自治法第244条の2の一部改正で2003年6月13日発布、同年9月2日に施行された制度です。

 

それまでは、公の施設の管理運営については、地方公共団体もしくは当該地方公共団体が設立した財団等しか管理運営を受託できなったが、本制度の施行により、「法人もしくは個人それらで構成される団体(以下、共同事業体等という)」に施設の管理を行わせることができるようになりました。

 

指定管理者制度では、公の施設を管理するにあたり、地方公共団体と共同事業体等との受委託の関係ではなく、行政処分による執行代行となっています。

 

理解しやすく言えば、運転免許制度と似ており、公安委員会が車を運転できる権利を行政処分として与えるように、地方公共団体は共同事業体等に当該公の施設の管理運営する権限を行政処分で与えています。

したがって、地方公共団と共同事業体等との間では、契約書が取り交わされるわけではなく、基本協定書が取り交わされ、指定期間における原則的な取り決めが定められ、年度ごとの年度協定により、細かい指定管理費などが定められています。

 

議会の議決を経て、指定管理者として指定された共同事業体等は一行政庁として、当該公の施設の管理運営の権限が委譲されています。

 

一般の人にはピンとこないかと思いますが、受委託と指定管理の違いで一番わかりやすいのは、受委託においては公の施設を借り受けようとするものは、地方公共団体の首長の承認が必要であり、利用承認書には必ず、首長の公印が押印されているはずです。

指定管理者制度を導入している公の施設では、利用承認書には首長の執行代行権をもつ、指定管理者の角印が押印されているはずです。

 

2003年の埼玉県における写真撮影会のプールの利用承認取り消しについては、行政処分の不服申し立てと行政処分の執行停止の仮処分申請をすれば、

利用承認取り消しは無効として、当日、普通に撮影会は実施できたのではないかと思いますし、話はもっと大事になっていたのではないでしょうか。

 

一般的によくある誤解として、「指定管理者制度」を単体で定めた法というのは存在していないということです。

 

ここで、地方自治法第244条の2を見てみたいと思います。

地方自治法第244条の2(公の施設の設置、管理及び廃止)

1.(略)2.(略)

3.普通地方公共団体は、公の施設の設置の目的を効果的に達成するため必要があると認めるときは、条例の定めるところにより、法人その他の団体であつて当該普通地方公共団体が指定するもの(以下本条及び第二百四十四条の四において「指定管理者」という。)に、当該公の施設の管理を行わせることができる。

4.前項の条例には、指定管理者の指定の手続、指定管理者が行う管理の基準及び業務の範囲その他必要な事項を定めるものとする。

5.指定管理者の指定は、期間を定めて行うものとする。

6.普通地方公共団体は、指定管理者の指定をしようとするときは、あらかじめ、当該普通地方公共団体の議会の議決を経なければならない。

7.指定管理者は、毎年度終了後、その管理する公の施設の管理の業務に関し事業報告書を作成し、当該公の施設を設置する普通地方公共団体に提出しなければならない。

8.普通地方公共団体は、適当と認めるときは、指定管理者にその管理する公の施設の利用に係る料金(次項において「利用料金」という。)を当該指定管理者の収入として収受させることができる。

9.前項の場合における利用料金は、公益上必要があると認める場合を除くほか、条例の定めるところにより、指定管理者が定めるものとする。この場合において、指定管理者は、あらかじめ当該利用料金について当該普通地方公共団体の承認を受けなければならない。

10.普通地方公共団体の長又は委員会は、指定管理者の管理する公の施設の管理の適正を期するため、指定管理者に対して、当該管理の業務又は経理の状況に関し報告を求め、実地について調査し、又は必要な指示をすることができる。

11.普通地方公共団体は、指定管理者が前項の指示に従わないときその他当該指定管理者による管理を継続することが適当でないと認めるときは、その指定を取り消し、又は期間を定めて管理の業務の全部又は一部の停止を命ずることができる。

 

上記のように、指定管理者については定められています。

 

地方自治法第244条の2の3に定められている通り、各施設に関する条例等に定められた施設の設置目的を達成するということが一番の命題であり、その条例等に目を通したことのないような者であっても、指定管理者に指定してしまうような地方公共団体も散見されるのは非常に嘆かわしいです。

 

地方自治法第244条の2の5については、指定管理者の指定期間は5年が一般的であり、その施設の特性により、3~10年というような例もあります。

 

地方自治法第244条の2の8については、利用料金制と徴収代行という制度があり、指定管理料を低く抑える代わりに、施設利用料については指定管理者の収入としてよいという利用料金制と、単純に施設利用料を地方公共団体に代わって徴収し、公金とする徴収代行があります。あくまで「することができる」条文であり、「ねばならない」条文ではないということです。

 

民間のノウハウによって、施設利用の増加が見込めるような施設においては、利用料金制を導入する場合が多く、たとえ施設利用者が少なくても、地方公共団体のミッションとして、維持しなければならないような施設については徴収代行となる例が多いようです。

 

地方自治法第244条の2の11は伝家の宝刀ともいうべき条文ではありますが、あくまで「指定管理者の管理する公の施設の管理の適正を期するため、指定管理者に対して、当該管理の業務又は経理の状況に関し報告を求め、実地について調査し、又は必要な指示をすることができる。」となっており、当該管理の業務や経理の状況の報告を求める、実地調査、必要な指示が出せるにとどまります。指示に従わなかったことが確定すれば、指定管理者としての指定や業務停止を命じることはできますが、指示に従わなかったことが確定しないと、この条文は効力を発揮できません。

先日話題なった土佐市の某観光交流施設の指定管理者たるNPO法人はコンプライアンス的にはまずい部分が多々ありますが、現在、公式な指示書が発行されているかいないかがわからないので、なかなか業務停止とはいかないでしょうか。

また、某観光交流施設についてはまもなく指定管理期間が終了するようなので、指定管理期間の終了が先か、指示書の発行および改善の有無の確認が先かということだと思われます。

さらに、次期指定管理者の公募に際しても、当該NPO法人以外の共同事業体等の手が上がらなかった場合、そのまま継続にするのか、不調にするのか、はたまた、議会は指定管理者の決定を議決するのかといったところが注目すべきところとなるでしょう。

 

指定管理者の選定のプロセスとしては、地方公共団体から提示される質問に対して、提案書として、アンサーを提示し、内容が良かった共同事業体等については、2次審査(プレゼン)にすすみ、最終的に一番成績の良かった共同事業体等が、指定管理者として優先交渉権を獲得し、議会の議決を経て、指定管理者として指定されます。

 

この提案書が指定管理期間においては、バイブルとなり、基本的に指定管理者が提案書の実現を目指します。計画を変更する場合は、地方自治体と交渉及び承認が必要となるため、指定管理者がなんでも好きにできるわけでありません。

 

前述の土佐市の某観光交流施設の提案書を情報公開請求で閲覧してみれば、カフェの設置ついてどのような思想で行われたのかがはっきりするのではないでしょうか。

 

また、この指定管理者に地方自治体が設立した公益財団法人が指定される例は多々ありますが、地方自治体から出向で職員が公益財団法人に派遣されている団体が指定管理者となること自体に「公平な競争」が行われていると言い切れるのかはいささか疑問です。

 

 

 

 

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