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NHKすらも間違う指定管理者制度の理解

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NHKすらも間違う指定管理者制度の理解

NHKすらも間違う指定管理者制度の理解

2023/09/06

NHKが2023年9月5日に放送した「クローズアップ現代 都市と地方のすれ違い “地域おこし炎上”はなぜ?」において、土佐市の観光交流施設・南風についての扱っているコーナーがあったが、そこで使われた解説図で指定管理者であるNPO法人に対して、土佐市が「施設の運営を委託」と表記されていました。

そもそも、指定管理者制度において、指定管理者として指定された団体は、行政処分で執行代行者として、権限が委譲されているのであって、受委託の関係ではありません。ここで再び、指定管理者とは何なのかということを解説していきたいと思います。

 

指定管理者制度とは

指定管理者制度とは、時の小泉政権により推し進められた「小さな政府」構想に基づき、地方自治法第244条の2の一部改正で2003年6月13日発布、同年9月2日に施行された制度です。

 

それまでは、公の施設の管理運営については、地方公共団体もしくは当該地方公共団体が設立した財団等しか管理運営を受託できなったが、本制度の施行により、「法人もしくは個人それらで構成される団体(以下、共同事業体等という)」に施設の管理を行わせることができるようになりました。

 

指定管理者制度では、公の施設を管理するにあたり、地方公共団体と共同事業体等との受委託の関係ではなく、行政処分による執行代行となっています。

 

理解しやすく言えば、運転免許制度と似ており、公安委員会が車を運転できる権利を行政処分として与えるように、地方公共団体は共同事業体等に当該公の施設の管理運営する権限を行政処分で与えています。

したがって、地方公共団と共同事業体等との間では、契約書が取り交わされるわけではなく、基本協定書が取り交わされ、指定期間における原則的な取り決めが定められ、年度ごとの年度協定により、細かい指定管理費などが定められています。

 

一般的によくある誤解として、「指定管理者制度」を単体で定めた法というのは存在していないということです。

 

観光交流施設「南風」の問題の本質とは

この問題の根底には2Fのカフェが指定管理に内包されていたか否かが大きなファクターだと思われます。

番組内では、当該NPO法人が指定管理者に指定され、施設の開設に向けて準備が進む中、飲食スペースの開設準備が遅々として進まず、NPO自体にも飲食店の運営経験が皆無だったため、地域おこし協力隊に市が2Fスペースの運営を打診したというような経緯が説明されていました。

 

これの何が問題なのかと言えば、2F飲食スペースの運営が指定管理対象施設であれば、運営能力のないNPOを指定管理者に指定した事こそがそもそもの誤りであるといえます。

 

指定管理者制度においては、「餅は餅屋」という思想が根底にあり、法人や個人が得意分野を活かして、施設の運営が行えるように共同事業体の設立が認められています。

 

当該NPOが飲食店の経営が不得意であれば、飲食店の経営が得意な法人や個人と共同事業体を設立して、指定管理者に応募すればこのような問題はそもそも起こらなかったといえます。

 

2Fの飲食スペースが指定管理者の指定施設に内包されていないのであれば、当該NPOの管理範囲外となるので、2Fの運営に関してとやかく言う権限がそもそもないということになります。

 

その場合は、市が直接、2F飲食スペースの運営を地域おこし協力隊の方と直接委託契約するべきです。

 

2F飲食スペースが指定管理の範囲内であり、二次委託を容認するという取り決めであれば、今度が市が本件契約に対して、直接、とやかく言う権限がなかったということになります。

 

地方自治法第244条の2の条文の中に次のような記述があります。

「10.普通地方公共団体の長又は委員会は、指定管理者の管理する公の施設の管理の適正を期するため、指定管理者に対して、当該管理の業務又は経理の状況に関し報告を求め、実地について調査し、又は必要な指示をすることができる。」

 

一見、市が口出しをしてもいいように見える条文ですが、あくまでこれは指定管理者に対して、「当該管理施設の業務又は経理の状況」に関して報告・調査・指示をすることができるという条文ですので、この場合の指定管理者である当該NPOには、報告・調査・指示はできますが、NPOの委託先である地域おこし協力隊の方に対してこれらの権限は発動しえないという理解になります。

 

これらのことから、土佐市の担当部局が正しく指定管理者制度を理解しないまま、当該NPOとの長年の付き合いにより、悪く言えば「なあなあ」の関係で指定管理者に指定してしまったうえに、NPOでは賄えない部分に対して、口や手を出してしまったことが誤りであるといえます。

 

先にも述べましたが、全体の管理運営能力のない団体を指定管理者に指定したこと自体が問題の発端であり、それを承認した議会にも責任があるといえます。

よって、この問題の責任は当該NPOでも、地域おこし協力隊の方でもなく、全面的に土佐市にその責任があることは間違いないと思います。

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